山梨働き方改革推進支援センターによるサポート事例(第2四半期)
ケース①
業種:小売業 / 従業員数:210名
●支援前の状況
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パートアルバイトが約160名在籍しているが、同一労働同一賃金についてまったく着手していない状況だった。
●専門家(社会保険労務士)の助言内容
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■各待遇について、均等待遇と均衡待遇に分類し、それぞれの手当について性質や目的等を確認、同一労働同一賃金を適用する場合の合理的な支給方法について検討した。
・均等待遇(業務と直接関係ないもの)⇒通勤費、皆勤・精勤手当、家族手当、インプット奨励金
・均衡待遇(仕事の重さ・責任によって変わるもの)⇒ 役職手当、基本給、賞与 -
■来年4月から施行するにあたり、就業規則や雇用契約の改定のスケジュールを確認(1月には従業員へ周知するために、それまでに改定内容を確定させる)
●支援後の効果
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現在支給している手当において、正社員とパートアルバイトとで待遇差があるものを再確認し、そこを重点的に改善していく方向性がはっきりした。
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合理的ではない手当について改善するためには、経営判断を仰ぐものがあるため、経営サイドで検討してもらうための案(家族手当の上限設定、基本給に含まれる勤続給を廃止等)を作成することができた。
ケース②
業種:製造業 / 従業員数:11名
●支援前の状況
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手許にある就業規則が古く、長期に亘り改正が行われていなかった。内容も簡易なもので、詳細が記載されていない状況であった。そのため、社員からの要請があるたびに、始業・終業時刻を変更したり、休暇を付与したりして対応してきたが、労務管理が複雑になってしまっており、明確なルール作りが望まれる。
●専門家(社会保険労務士)の助言内容
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モデル就業規則や書籍を参考に改正案を作成していたため、絶対的記載事項と相対的記載事項を説明し、法に則った内容か1条ずつ点検を行った。
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1年単位の変形労働時間制を採用していることから、就業規則への記載例を案内した。届出は適正に行われていることを確認した。また、就業規則作成支援ツールを用いる方法をアドバイスし、監督署への届出書類の作成支援を行った。
●支援後の効果
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正社員の始業・終業時刻および所定労働時間が、社員からの個々の要望により複数パターンで運用されていたため、現行の就業規則に則った労働時間に修正を行うことを検討することとした。
規則を整備することにより、明確なルールを基に軌道修正を行うことを目指し、その際、社員には丁寧に説明を行うこととした。
ケース③
業種:観光業 / 従業員数:2名
●支援前の状況
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労働時間管理について曖昧な部分がある。
●専門家(社会保険労務士)の助言内容
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シフト調整の方法の改善と変形労働時間制の採用の提案
労働時間は、1年のうち春~秋頃(9月)までがピークで労働時間が長くなるがそれ以外の期間は閑散期になるため労働時間が一気に減少するとのこと、また人数が少なく口頭でシフトを組んでいる事も多いようだったので、労働時間は客観的な方法で管理していくこと、ルールを作ること、合わせて変形労働時間制について説明し、1年単位の変形労働時間制の採用を提案した。 -
就業規則の確認
労働時間、休憩、休日が実際の運用に合っている内容で定めることの必要性を説明
●支援後の効果
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勤務シフト作成に取組中。
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助言内容を踏まえ、就業規則の見直しを行った。
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1年単位の変形労働時間制の採用を決定した。
ケース④
業種:製造業 / 従業員数:29名
●支援前の状況
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従業員10人以上であり、平成17年以後就業規則の変更がなく労基法に違反した状態であった。
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年間のカレンダーを使用しての労働時間管理をしていたが1年変形の労働時間制の協定書が作成されていなかった。
●専門家(社会保険労務士)の助言内容
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年次有給休暇の取得義務や育児介護休業規程等の法改正に伴う就業規則の変更、届出は必要。
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年間の変形労働時間制を採用する場合、労使協定の作成と監督署に届ける事が必要。
●支援後の効果
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就業規則の変更・届出、一年変形の労働時間制の労使協定の作成と届出が出来た。
ケース⑤
業種:歯科医 / 従業員数:8名
●支援前の状況
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人手不足もあって非正社員をキャリアアップさせ正社員としたい。
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業務軽減策となる施策を行いたいが、費用面での援助等があれば教えて欲しい。
●専門家(社会保険労務士)の助言内容
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非正社員のキャリアアップ
正社員の長時間労働の改善等を図るため、非正社員への資格取得や正社員登用を推奨し、環境整備を図ることを提案した。 -
助成金の活用に向けた助言
従業員の正社員化や業務軽減策となる整備設備の実例の紹介とかかる費用の一部を支援対象となる助成金を紹介した。
●支援後の効果
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就業規則への制度化の整備や助成金申請の準備段階としての計画届の作成提出を行うことが出来た。
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労働条件等を見直す中で36協定書の未提出が発覚し、作成支援を行い、労働基準監督署に届出した。
ケース⑥
業種:建設業 / 従業員数:9名
●支援前の状況
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年次有給休暇の取得が進まない。年5日取得の義務化を受けて対応を検討したい。
●専門家(社会保険労務士)の助言内容
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労働者が年次有給休暇を取得しやすい環境づくりとして年次有給休暇取得計画票を作成し各労働者の取得を促すよう、また取得日数が5日未満の労働者には使用者からの時季指定する方法なども提案した。
●支援後の効果
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各労働者の取得状況が明確になり気兼ねなく労働者が年次有給休暇を取得しやすい環境づくりができた。